2012年9月24日月曜日

飢餓時の筋トレと運動

飢餓時のレジスタンストレ―ニングや持久力増強訓練は禁忌とリハ栄養で言っています。それではどの程度の運動や活動であれば可能であり、行うべきでしょうか。

日常生活での筋収縮力が常に最大筋力の20%以下であれば、筋力は徐々に低下します。一方、最大筋力の20-30%の筋収縮で筋力は維持可能で、最大筋力の30~40%以上の筋収縮で筋力は増加可能と言われています。

日常生活レベルで発揮する筋力は20-30%程度ですので、日常生活を行っていれば廃用性筋萎縮を起こすことも筋力が増えることもあまりないと思われます。

飢餓時は筋肉を分解してエネルギーを作りだしますので、筋肉量は減少します。Muscle Power(筋肉の質)が改善すれば、筋肉量が減少しても筋力が改善する可能性はあります。しかし、飢餓で筋肉量が減少している時の筋力の目標は、改善ではなく維持もしくは悪化軽減でしょう。

飢餓時に日常生活での筋収縮力が常に最大筋力の20%以下になると、飢餓による筋萎縮に廃用性筋萎縮が加わります。そのため、飢餓時でも最大筋力の20-30%程度の筋収縮を発揮する機会は重要です。つまり、日常生活を行うことは、廃用性筋萎縮の予防に有用です。

一方、運動によるエネルギー消費量の増加は通常、飢餓の悪化につながります。ただし、悪液質で運動による抗炎症作用から食欲改善を期待する場合は、飢餓の改善につながることもあります(漫然と行うべきではありませんが)。そのため、飢餓時はできるだけ運動を控えたほうがよいということになります。

飢餓時のレジスタンストレーニングは、筋肉量増加を期待できないだけでなく、運動によるエネルギー消費量増加から飢餓の悪化にもつながりますので、原則として禁忌です。

飢餓時の持久力増強訓練も、持久力増加を期待できないだけでなく、運動によるエネルギー消費量増加から飢餓の悪化にもつながりますので、原則として禁忌です。

飢餓時に廃用性筋萎縮を予防するためには、1日中安静臥床で過ごすのではなく、日常生活を行うことが重要です。日常生活を行うことで安静臥床に比べるとエネルギー消費量は増加しますが、日常生活のメッツは2メッツ程度です。飢餓の若干の悪化と廃用性筋萎縮を比べると、廃用性筋萎縮のほうがより問題と考えます。

そのため、飢餓時に日常生活を制限する必要はないと考えます。むしろ1日中安静臥床で過ごすのではなく、しっかり離床したうえで、日常生活やADL訓練を行うことを推奨します。ただし、階段昇降はお勧めしません。エレベーターやエスカレーターを使いましょう(笑)。

飢餓時に機能訓練を行う場合、離床する、廃用症候群予防のためにADL訓練を行う、2メッツ以下の活動を行うことはよいと考えます。機能訓練中の栄養剤補給は特に重要でしょう。一方、レジスタンストレーニングや持久力増強訓練は禁忌です。平地歩行は可ですが、家屋内短距離程度とするのがよいと考えます。

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