2012年8月20日月曜日

先哲が説く指導者の条件

安岡正篤著、現代活学講話選集6 先哲が説く指導者の条件 『水雲問答』『熊沢蕃山語録』に学ぶ、PHP文庫を紹介します。

http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-66460-6

歴史からリーダーの条件を学ぶことが重要だと感じさせられた1冊です。まさに「往聖のために絶学を継ぐ」という書籍です。これは世に埋もれてしまった先哲の学問、絶えてしまった思想に光をあて、現代の息吹をふきこみ、活学として甦らせることです。

177ページより人間を観る四つの見方を紹介・引用させていただきます。以下、引用です。

まず人間の人間たる本質的要素は何と言うても「徳性」というものである。これに属性・付属的要素として「知性・知能」と「技能」がある。もう1つは「徳性」に準じてよい大事な「習慣」というものがある。この四つの観点から人間を考察すると、一番よく把握できる。

以上、引用です。これを2つに要約すれば、「徳」(特性と習慣)と「才」(知性・知能と技能)になります。どちらも大事ではありますが、より大事なのは「徳」というのが、安岡正篤師の一貫した主張です。

一方、ドラッカーはマネジメントの大家であり、マネジメントは重要な技能の1つといえます。しかし、『現代の経営』[上]で以下のようなことも言っています。以下、引用です。

真摯さは習得できない。仕事についたときにもっていなければ、あとで身につけることはできない。真摯さはごまかしがきかない。一緒に働けば、その者が真摯であるかどうかは数週間でわかる。部下たちは、無能、無知、頼りなさ、無作法など、ほとんどのことは許す。しかし、真摯さの欠如だけは許さない。そして、そのような者を選ぶマネジメントを許さない。

以上、引用です。真摯さはintegrityの日本語訳ですが、これは「徳性」ともいえるのではないかと考えます。そしてよいマネジメントの必要条件であるという点で、真摯さは個々のマネジメントスキルよりも重要です。

真面目に知性・知能と技能を身につけたり磨いたりする学習をしていても、それだけでは真摯さ、「徳性」があるとはいえません。ドラッカーは真摯さは習得できないと言っていますが、安岡正篤師は学習(知性・知能と技能ではなく人間学)で習得は可能と考えています。

知性・知能と技能の学習も重要ですが、「徳性」を学ぶ人間学も重要だということを、最近改めて実感します。言うは易く行うは難しですが…。でも医療人で知性・知能と技能はあっても真摯さや「徳性」がない人を反面教師にしているので、地道に頑張ります。

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