2012年4月17日火曜日

サルコペニアの嚥下障害に有益な資料

大黒理江さんにサルコペニアの摂食・嚥下障害に有益な資料を教えていただいたので、紹介いたします。

①高齢者における摂食・嚥下障害とリハビリテーション
国立長寿医療センター 骨関節機能訓練科医長 長屋政博先生

http://www.ncgg.go.jp/pdf/Individually/LongevityTraining/2006/07.pdf

口腔機能の加齢変化として、筋肉に関わるものとして以下のものが紹介されています。
咀 嚼 力  : 咀嚼筋力は低下
          嚥下までのストローク数が増加
          嚥下までの咀嚼時間が延長(個人差が大きい)
口唇の機能 : 閉鎖力低下
舌    圧 : 低下
嚥下時の舌骨運動時間 : 延長
このほか、加齢に伴い摂食・嚥下関連器官では喉頭の下垂、咽頭収縮筋の収縮力減退、頚椎関節可動域の狭化などがみられる。

舌骨上筋群の反応時間が加齢とともにやや延長することも示されています。

②嚥下のメカニズムとその評価
九州大学医学研究院耳鼻咽喉科 梅崎俊郎先生

http://www.seiai-riha.com/pdf/100921%20innaibenkyou02.pdf

咽頭クリアランス(=飲み込むのどの力)について、加齢によって咽頭クリアランスがやや低下することが示されています。以下の3つがそのまとめです。

1.パソコンを用いて咽頭クリアランス値の定量的な解析が可能である。
2. 60歳未満では、加齢とクリアランス値の間に有意な変化がみられなかったのに対し、 60 歳以上では負の相関がみられる。
3.高齢者では咽頭クリアランスの低下に加え、他の因子が関与することで誤嚥の可能性が高まると考えられる。

喉頭挙上遅延時間(LEDT) の測定も行っており、70代以下と比較して、80代で喉頭挙上遅延時間が長いことが示されています。安静時・最大挙上喉頭位置も、加齢とともに下降する傾向があります。

喉頭の垂直方向の運動として、以下のデータが示されています。
① 舌骨垂直移動距離 平均11.9 mm
② 喉頭垂直移動距離 平均18.7 mm
③ 甲状舌骨間移動距離 平均6.8 mm

これらのデータをベースとしながら、サルコペニアの摂食・嚥下障害の臨床や研究を進めていければと考えています。

2 件のコメント:

  1. 大変参考になりました。

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  2. 泉さん、コメントどうもありがとうございます。今後も参考になる資料や情報を発信したいと思います。よろしくお願い申し上げます。

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