2011年7月22日金曜日

廃用症候群の高齢入院患者のADLと栄養状態の関連:横断研究

【目的】廃用症候群の高齢入院患者のADLと栄養状態の関連を検討する。

【方法】対象は2010年4月から2011年3月に当院リハ科に併診があり、リハ科医師が廃用症候群と診断した65歳以上の入院患者176人。研究デザインは横断研究。リハ科併診時のADLはBarthel Indexで、栄養状態はMNA-SFで評価した。栄養障害の原因として飢餓、侵襲、前悪液質の有無を調査した。BMI、ヘモグロビン、アルブミン(Alb)、総リンパ球数(TLC)、CRPも評価した。ADLとMNA-SF、BMI、検査値の関連をSpearmanの順位相関係数で検討した。次にADLと有意な相関を認めた項目でADLの予測式を重回帰分析(ステップワイズ法)で検討した。またADLと飢餓、侵襲、前悪液質の有無をマンテル検定で検討した。

【結果】平均年齢78.6歳、男性102人、女性74人。入院から併診まで中央値13日。訓練開始場所はベッドサイド123人、機能訓練室53人。Barthel Indexの中央値は37.5点(5、57)。MNA-SFは153人(87%)が低栄養、23人(13%)が低栄養のおそれあり、栄養状態良好は0人。飢餓を75人(43%)、侵襲を146人(83%)、前悪液質を52人(30%)に認めた。平均値はBMI20.7±3.6、ヘモグロビン9.69±1.73g/dl、Alb2.64±0.59g/dl、TLC964±675。CRPの中央値は2.58mg/dl(0.91、6.06)。ADLと有意な相関を認めたのは、MNA-SF(r=0.325)、Alb(r=0.488)、TLC(r=0.309)、CRP(r=-0.395)であった(いずれもp<0.001)。次にこれら4項目と年齢、性別で重回帰分析を行ったところ、ADLに関わっていたのはMNA-SFとAlbのみであった(Barthel Index=3.76×MNA-SF+20.38×Alb-36.76、R2=0.302、p<0.001)。ADLと栄養障害の原因では、侵襲のみ有意な関連を認めた(カイ2乗値8.01、p=0.005)。

【考察】廃用症候群の高齢入院患者の大半は低栄養である。ADLと栄養状態に関連を認め、アルブミンと侵襲の存在もADLと関連していた。侵襲の結果、ADLと栄養状態が悪い可能性がある。

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