2011年5月21日土曜日

Harris-Benedict式と日本人の食事摂取基準2010の比較


Harris-Benedict式と日本人の食事摂取基準2010の比較に関する私見を記載します。

飢餓の定義は実はなかなか難しいのですが、私は1日エネルギー摂取量-基礎エネルギー消費量がマイナスであれば、少なくともその時点では飢餓状態にあると判断してよいと考えています。

基礎エネルギー量の算定には、Harris-Benedict式がもっともよく使用されています。

男性:66.5+(13.7xBW)+(5.0xHT)-(6.8xAge)
女性:655.1+(9.56xBW)+(1.85xHT) -(4.7xAge)

BW:体重kg、HT:身長cm、Age:年齢

その他に、日本人の食事摂取基準2010では、年齢別、性別の基礎代謝量が表のように示されています。

日本人の食事摂取基準 Ⅱ 各論 1.エネルギー・栄養素 1 エネルギーより引用
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4e.pdf

この表によると50歳以上の男性の基礎代謝量は21.5kcal/kg/day、50歳以上の女性の基礎代謝量は20.7kcal/kg/dayとなっています。

Harris-Benedict式は本来70歳までの方にしか適用できない式であり、日本人や高齢者では高めにでると言われています。

そこで手持ちの65歳以上の高齢者の身長、体重、年齢のデータで、Harris-Benedict式で計算した基礎エネルギー消費量と、日本人の食事摂取基準で計算した基礎エネルギー消費量をそれぞれ計算して比較してみました。

結果ですが全体の平均値では、Harris-Benedict式:1058kcal、日本人の食事摂取基準:1076kcalと、それほど大きな違いはありませんでした。また、性別で比較すると男性では日本人の食事摂取基準のほうがやや高めに、女性ではHarris-Benedict式のほうがやや高めになりました。誤差は最大でも200kcal程度でした。

今回の結果より、日本人の高齢者の基礎エネルギー消費量の推定にもHarris-Benedict式を使用してもよいのかもしれません。ただし、200kcal程度の誤差はあるものと考えておくべきです。

ただ、50歳以上であれば男性21.5kcal/kg/day、女性20.7kcal/kg/dayで同じですから、Harris-Benedict式で計算しなくても、この基礎代謝量で簡単に算出すれば十分かもしれません。

次に手持ちの65歳以上の高齢者のデータで、1日エネルギー摂取量-基礎エネルギー消費量の結果が逆転するケースがどの程度あるかを調べてみました。結果ですが、約7%の高齢者で飢餓のあり、なしの逆転が生じました。ただ、興味深いことに、飢餓あり→なしの逆転と、飢餓なし→ありの逆転の人数は同じでした。

この結果より、飢餓の判断の際に用いる基礎エネルギー消費量の式は、高齢者の場合、Harris-Benedict式と日本人の食事摂取基準2010のどちらでもよいのかもしれません。簡単なのは日本人の食事摂取基準2010のほうですね。

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