2010年10月23日土曜日

ドラッカー・ディファレンス

今日は、ピアース,C.L.編/マチャレロ,J.A.編/山脇秀樹編/上田惇生訳/小林薫訳/藤島秀記訳/大木英男訳/高木直二訳/森里陽一訳 ドラッカー・ディファレンス クレアモントの授業を紹介します。

http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/bc91deca30e469d47268cd51b751c72a/

この書籍は、ドラッカーが勤めていたクレアモント大学院/ドラッカースクールの必修科目の授業の一部を書籍にしたものです。ドラッカーが執筆した書籍ではありませんが、ドラッカーの教えを活用してこのような授業を行っているのかと思うと、実に興味深いです。

知識社会の一般教養としてのマネジメントを学ぶのに適した書籍です。医療人にとってもマネジメントは当然、一般教養の1つです。スキルとしてのマネジメントよりも、フィロソフィー・心構えとしてのマネジメントを学べます。マネジメントスキルの書籍はたくさんありますが、心構えの書籍はほとんどありません。

特に第8章「知識労働者のためのセルフ・マネジメント」はためになります。ドラッカーの書籍で脳科学について触れている書籍はあまり見たことがありませんが、ここでは脳科学的見地から「集中」の重要性が紹介されています。時間管理・貢献・強み・集中・意思決定が成果をあげる基本ですが、やはり集中は大切です。

固定型思考と成長型思考という2つの思考も第8章で紹介されています。固定型思考は、防衛的で過ちを許さない、完全を期す意識が学びやリスク適応を妨げるそうです。一方、成長型思考は、人に何かを印象付けるより、自らを高めるほうを選ぶ、何にでも関心を示し、間違えたからといって自分も他人も責めないそうです。

1人の中に両者が共存しうるそうですが、日本の義務教育、受験戦争の中で育つと多くの人は固定型思考になってしまうのではないかと思います。失敗を恐れる、失敗を許さない風潮があります。

しかし、成長型思考はドラッカーの説く継続学習を具現化するものであり、知識社会における必須の姿勢だそうです。私の中にも両方の思考がありますが、"no venture, no glory"をモットーにするなど工夫することで、なるべく成長型思考をメインにしたいと考えています。

すでに「プロフェッショナルの条件」などドラッカーの書籍を読んだことがある方に、応用編としてお勧めできる書籍です。ドラッカーを読んだことがない方はぜひ「もしドラ」と「プロフェッショナルの条件」を読んでみてください。

目次
推薦の辞――知識社会のリベラル・アーツ(野中郁次郎)
日本版への序文――ドラッカーとその他大勢を分けるもの(ジョゼフ・A・マチャレロ)
序文(チャールズ・ハンディ)
第1章 教養としてのマネジメント(カレン・E・リンクレター/ジョゼフ・A・マチャレロ)
第2章 ドラッカーならば何と言うだろうか――政府と企業と非営利組織の世界で起こっていること(アイラ・ジャクソン)
第3章 知識時代のリーダー――脱「統制」のマネジメント(クレイグ・L・ピアース)
第4章 企業の目的とは何か(リチャード・R・エルスワース)
第5章 企業戦略の適否診断(ビジャイ・サテイ)
第6章 ソーシャルセクターの世紀(サラ・スミス・オー)
第7章 「すでに起こった未来」の探索(山脇秀樹)
第8章 知識労働者のためのセルフ・マネジメント(ジェレミー・ハンター/J・スコット・シェラー)
第9章 ドラッカー・マーケティングの原点――「顧客の創造」を考える(ジェニー・ダロック)
解説に代えて――今、ドラッカーを学ぶ意味(上田惇生)

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