2010年9月5日日曜日

血中クレアチニン値とリハ栄養

昨日まで日本摂食・嚥下リハ学会に参加してきました。今回はじめて一般演題の座長を経験させていただきましたが、座長のお礼が魚沼産コシヒカリ1kgと新潟らしいもので面白いと感じました。

初日に第5回臨床栄養セミナーNST設立・運営に必要な基礎知識として、東口髙志先生の「栄養療法の基礎」という講演がありました。そこで、「血中クレアチニン値が0.5以下なら筋肉量や血中アミノ酸が少なくリハ(レジスタンストレーニングという意味だと思います)は無駄」という話がありました。これを少し補足します。

クレアチニンは筋肉へのエネルギーの供給源であるクレアチンリン酸の代謝産物です。Wikipediaによると、正常値は施設によって若干異なるが概ね以下の通りとあります。

血清Cr値:男性で0.6~1.2mg/dl、女性で0.4~1.0mg/dl

「血清Cr値が正常範囲以下であれば、多くの場合、妊娠、糖尿病の初期、長期臥床、等が示唆される。稀に筋肉量が減る病気(尿崩症、筋ジストロフィー、多発性筋炎、筋萎縮性側索硬化症、等)もある。」と紹介されています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%83%81%E3%83%8B%E3%83%B3

検査値としてはクレアチニン高値で腎障害を考える使い方のほうが多いですが、確かに低値も無視はできません。基本的に全身の筋肉量を反映しているので、クレアチニン低値の場合、広義のサルコペニアが疑われます。リハ栄養的にも重要な評価項目です。

ただ、血中クレアチニン値が0.5以下ならリハは無駄というのは1つの目安ではありますが、簡潔すぎるかもしれません。例えば血中クレアチニン値が0.5以下でも、検査値の推移として上昇傾向にある場合で、脱水や腎障害の存在を除外できて栄養状態改善中であれば、レジスタンストレーニングが有効な可能性が高いです。

一方、血中クレアチニン値が0.5以上でも、脱水や腎機能の改善ではなく栄養状態の悪化で、検査値の推移として低下中であれば、レジスタンストレーニングは禁忌の可能性が高いです。

リハ栄養の評価項目としての利用価値はありますし目安にはなりますが、その使い方に関しては、「0.5以上なら即レジスタンストレーニング可、0.5以下なら即レジスタンストレーニング禁忌」のような単純に白黒をつけるようなことはしないほうがよいと考えます。

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