2010年8月19日木曜日

入院患者における廃用症候群の低栄養の病因は何か‐飢餓・侵襲・前悪液質

【1.目的】以前の研究で廃用症候群の入院患者の約9割に低栄養を認めた。しかし、低栄養の病因は不明である。廃用症候群の低栄養の病因を検討する。

【2.方法】対象は2010年4月から8月に当院リハ科に併診があり、リハ科医師が総合的に廃用症候群と診断した入院患者61人。平均年齢70歳、男性37人、女性24人。入院から併診まで平均24日。リハ科併診時の低栄養の有無をMNA®-SFで評価した。低栄養の病因は、飢餓(1日エネルギー摂取量がHarris-Benedict式の基礎エネルギー消費量以下で判断)、侵襲(入院時と入院後の急性疾患や手術などの有無で判断)、前悪液質(悪液質の原因となる慢性疾患の存在、6ヶ月以内に5%以上の体重減少、慢性・再発性の全身炎症反応、食思不振の4項目すべてに該当で判断)に分類して評価した。投与経路、BMI、ヘモグロビン、アルブミン、総リンパ球数、小野寺のPNIも評価した。

【3.結果】MNA®-SFでは53人が低栄養、8人が低栄養の恐れありで、栄養状態良好は0人であった。飢餓を25人(41%)、侵襲を47人(77%)、前悪液質を15人(25%)に認めた。患者別では病因なし7人、飢餓のみ2人、侵襲のみ24人、前悪液質のみ2人、飢餓+侵襲13人、飢餓+前悪液質3人、侵襲+前悪液質3人、飢餓+侵襲+前悪液質7人であった。低栄養の恐れありでは、病因なし3人、侵襲のみ3人、飢餓+侵襲2人であった。投与経路は経口摂取34人、経管栄養14人、経静脈栄養38人(重複あり)。各平均値はBMI20.5、ヘモグロビン9.46、アルブミン2.72、総リンパ球数920、PNI31.5と検査値異常を認めた。

【4.考察及び結論】廃用症候群の入院患者の多くは低栄養で、その病因として侵襲が最も多かったが飢餓や前悪液質も少なくなかった。飢餓のみが低栄養の病因の患者は少ないため、栄養管理単独での栄養状態や廃用症候群の改善は難しいことが多い。侵襲と前悪液質の原因疾患の治療と同時に、低栄養の病因を考慮した適切なリハ栄養管理を行うことが重要である。

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