2010年8月15日日曜日

すぐに役立つ経口補水療法ハンドブック

今日は谷口英喜著、すぐに役立つ経口補水療法ハンドブック、日本医療企画を紹介します。

http://www.jmp.co.jp/shop/products/detail.php?product_id=586

多くの日本人は今でも点滴信仰を持っていて、点滴が不要なのに点滴を望むことがあります。この書籍は点滴信仰の終焉を宣言しているようです。経口補水療法を優しい、易しい治療法と位置付けて、わかりやすく紹介しています。医療人が読んで難しいと感じることは少ないと思います。

「脱水症の時にお水やスポーツ飲料を摂ると」は、経口補水療法と水やスポーツ飲料の違いを理解するのに最適です。ごく軽度(~軽度)の脱水は水やスポーツ飲料、軽度から中等度の脱水は経口補水療法、高度の脱水は点滴の適応となります。脱水の程度に応じて適宜使い分けが必要です。

スポーツ領域でも導入が広がっていることに納得できます。今年の高校野球神奈川県代表チームも使用しているそうです。一般にも臨床にもさらに広がるべき治療法だと考えます。術前の点滴・禁飲食から経口補水療法にすることは、時代の流れです。

摂食・嚥下障害との相性もよいです。軽度の脱水と嚥下障害であれば経口補水療法の適応です。水分では誤嚥する場合には、ゼリーを使用する選択肢もありますが、キサンタンガム系の増粘剤で0.5~1%程度のトロミをつけて飲めばよいかと思います。ミネラルを含んでいる水分は含んでいない水分よりも粘度がつきやすいので、1%を超える増粘剤は使用しないほうがよいと考えます。

目次
第1章 経口補水療法とは?
 1. 経口補水療法とは“飲む点滴”
 2. 経口補水療法は“発展途上国から生まれた治療法”
 3. 経口補水療法は“20世紀最大の医学上の進歩”
 4. 経口補水療法は医療現場の救世主
 5. 新しい経口補水液の開発へ

第2章 脱水症を理解しよう
 1. 栄養管理の基本はまず体液管理
 2. 身体はたくさんの水からできている
 3. 体液は細胞内液と細胞外液から構成されている
 4. 身体にとって電解質は必要不可欠
 5. 脱水症になると水分も電解質も失われる
 6. 脱水症の原因はさまざま
 7. 小児と高齢者は脱水症になりやすい
 8. 熱中症の症状と対応
 9. 見て触ってわかる脱水症の早期診断方法
 10. 脱水症と補水療法

第3章 経口補水療法を理解しよう
 1. コレラ治療をきっかけに開発
 2. 経口補水療法の理論は日本にも古くからあった
 3. 砂糖と塩が水を運ぶ、その割合が重要
 4. 脱水症の時にお水やスポーツ飲料を摂ると?
 5. 経口補水療法の適応と限界
 6. 経口補水療法は優しい、易しい

第4章 経口補水療法の活用方法
 1. 上手に活用するコツ
 2. 臨床現場における活用方法
 3. NST(栄養サポートチーム)による活用
 4. 災害医療
 5. スポーツ
 6. 産業医療
 7. 旅行医学

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