2010年7月4日日曜日

人が育つ会社をつくる

今日は高橋俊介著、人が育つ会社をつくる―キャリア創造のマネジメント―、日本経済新聞社を紹介します。アマゾンなら中古品を100円から購入できるようです。

http://www.nikkeibook.com/book_detail/31282/

医療人の場合は、人が育つ病院・施設・研究会・組織をつくると読みかえるとよいと思います。医療人にとってもキャリア創造のマネジメントは極めて重要です。

「なぜいま組織で人が成長しにくいのか」は病院・施設にも当てはまることだと私は感じています。IT化、PC使用が進み、隣の人がどのように仕事をしているのかが見えにくくなったことも要因の1つだと考えます。

第2章64ページに、若手社員が育ちやすい条件として、
①チャレンジングな仕事が日常的に与えられる環境にあり、
②コーチング的マネジメントスタイルがとられていて、
③健全な成果プレッシャーがあれば
と紹介されています。3つの条件が揃っていることが重要だそうです。本人の主体性を尊重しつつもコーチングでフォローして成果はある程度求めていく。

過去の自分を振り返ってみても確かにこの3つが揃っているときに、学習と成長をしやすかった印象があります。ただ、あくまでこれは20代~30代前半の話であって、30代後半以降はチャレンジングな仕事や機会は、自ら探し作り得るものだと考えます。与えられたことだけやっていても足りないと感じます。

第3章の中の「多様な成長に向けて個人ができること」として、以下の7つが紹介されています。

・気づきをきっかけに仕事の仕方を変える
・テーマにこだわり新しい課題や課外活動に取り組む
・ネットワークへの投資でハプンスタンス(偶然)のチャンスを活用する
・仕事そのもののプロフェッショナル化
→「プロフェッショナルとは、顧客の半歩先をいき問題解決ができるような思考・行動特性の持ち主のことをいう」と定義しています。
 自分から積極的に仕掛けることの重要性も指摘しています。「時代の流れを読んで、これから仕事で必要になるであろう能力を獲得する。あるいは、主流ではないが、これから拡大すると思われる分野に、他者に先んじてキャリアを振っておく。」
・キャリアチェンジによる成長
・働き方や雇用形態を変えることで成長する
・ワークとライフの統合で成長する(バランスではなくインテグレーション)

やはり主体的ジョブデザイン行動やネットワーク行動がポイントのようです。ただ、ネットワーキングに関してはネットワークから自分が得ること、もらうことばかりを考えるような人脈作りは推奨しません。自分が貢献できることを考えてネットワークを作るのが適切で、貢献の結果として自分が得るものが多いのだと思います。

一方、同じ章の「多様な成長に向けて組織がすべきこと」として下記の4つが紹介されています。

・人材育成の仕組みの変革
・組織編成、職務設計の変革
・個人のキャリアコンピタンシーの強化
・健全なビジネスモデルと成果プレッシャー

私が多様な成長に向けて関われる組織は、NSTや嚥下に関わるものに限定されますが、自分の学習と成長はもちろんですが、こういったポイントを意識した組織作りができればと考えています。

目次

第1章 なぜいま組織で人が成長しにくいのか(暗黙の人材育成機能だったOJTの崩壊、若者たちの焦りと思い込み ほか)

第2章 何が若手社員を成長させるのか(成長は、仕事を通じてこそ得られる、組織は何をすべきか ほか)

第3章 多様な成長パターンを用意する(なぜ成長の多様性なのか、仕事のプロフェッショナル化による成長 ほか)

第4章 自らキャリアを切り開いていく力をつける(健全なキャリア自律概念とは何か、健全なキャリア自律概念の四つの特徴 ほか)

第5章 新たな人材育成のための仕組みをつくる(上下関係の育成に頼らない学習する組織の構築、管理志向のマネジメントスタイルからの脱却 ほか)

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