2010年6月9日水曜日

リハビリテーションNST

リハビリテーションNST(Rehabilitation Nutrition Support Team、RNST)は、リハ栄養と同様、新しい概念です。単純にいえばリハ栄養を実践しているチームが、リハNSTです。

しかし、単にNSTにPT・OT・STやリハ科専門医が参加したものではありません。PT・OT・ST・リハ科専門医がNSTに参加しても、リハに関する情報交換はなく、チームで栄養ケアマネジメントのみを行っているのであれば、それはNSTです。

一方、PT・OT・ST・リハ科専門医や看護師、社会福祉士で行うリハカンファレンスに単に管理栄養士が参加したものでもありません。管理栄養士が参加しても、栄養状態を考慮したリハ栄養管理の話し合いにならなければ、それはリハ栄養カンファレンスではなく、リハカンファレンスです。

リハ栄養とは、栄養状態も含めてICF(国際生活機能分類)で評価を行ったうえで、適切な予後予測のもとでリハ栄養ケアプランを実践することです。多職種で構成されるチームでリハ栄養管理を行っていれば、それはリハNSTです。実際にはリハNSTでリハ栄養管理を行っている病院・施設は増加傾向にあると思います。

主な参加職種は、医師、歯科医師、PT・OT・ST、歯科衛生士、管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、社会福祉士です。これらすべての職種が参加していれば理想的なリハNSTと言えますが、実際にはかなり難しいでしょう。

リハチームもNSTもチーム医療ですが、両方を見てきた経験では、やや違いがあります。どちらも医師が中心となることが多いですが、医師がとっつきにくいのはリハチームです。医師は看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師とのディスカッションには比較的慣れていますが、PT・OT・STとのディスカッションにはあまり慣れていません。

そのため、おまかせリハになりやすいです。一方、栄養管理に関しては、おまかせ栄養管理となることは比較的少ないです。ただ、多くの医師はリハも栄養管理も卒前・卒後教育であまり学習していません。学習機会が少なかったというのが実情です。

その分、PT・OT・STがNSTに参画してリハNSTとして活動すると、より成果が高まることを期待できます。もしくはリハ科専門医がリハ栄養の視点を持ってNSTに参画するとよいです。ただ、リハ科専門医は2010年6月現在日本リハ医学会ホームページによると、1732人しかいません。

https://member.jarm.or.jp/specialist.php

この中で栄養に関心のあるリハ科専門医は一部しかいませんので、リハ科専門医にリハNSTへの参画を期待はしますが、実際には難しいかもしれません。

リハNSTのチーム形態は多職種連携型(interdisciplinary team)か超職種型(transdisciplinary team)が望ましいです。すべての職種に求められる役割としては、下記のようなものが考えられます。

 ICF(国際生活機能分類)での評価
 リハ栄養スクリーニング
 リハ栄養アセスメント
 ベッドサイドで可能な摂食・嚥下機能評価
 機能改善を目標とした機能訓練の可否の判断

PT・OT・ST以外の職種には、ICFの理解が大きな課題です。ICFを知らなければ、障害やリハの概念を理解しているとは言えず、リハ栄養の実践は困難です。ICFを知ることで、リハ栄養では栄養アセスメント以外に大切な評価項目があることを理解できます。

基本的な栄養アセスメントはすべての職種が誰でも行えるようになるべきです。栄養ケアプランの立案・実施は誰でもというわけにはいきませんが、評価もできなければ栄養管理のしようがありません。

そして、機能改善を目標とした機能訓練の可否の判断をできることが、リハ栄養では大切です。それによってリハ栄養ケアプランも変わってきます。リハと栄養の両方をみてゴール設定やリハ栄養プランの立案・実施を行えることが望ましいです。

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