2010年6月29日火曜日

JSPEN2011演題募集開始

JSPEN2011(2月17-18日、名古屋国際会議場)の演題募集が開始となりました。

http://jspen.jp/jspen2011/index.php

申込み期間は6月28日(月)正午~2010年8月24日(火)正午までです。今回は要望演題がたくさんあります。個人的には可能であれば一般演題よりも要望演題での演題登録をお勧めします。

私は「広義のサルコペニアによる摂食・嚥下障害の病態と栄養管理」という演題で要望演題7「嚥下障害の病態と栄養管理」で登録しました。残念ながら1番ではありませんした…。以下、抄録です。

摂食・嚥下障害の原因の1つに、嚥下筋のサルコペニアがある。サルコペニアの定義は、狭義では加齢に伴う筋肉量の低下、広義ではすべての原因による筋肉量・筋力の低下となる。広義のサルコペニアの原因には、加齢、活動(廃用)、疾患(侵襲、悪液質、原疾患)、栄養(飢餓)がある。
高齢者では加齢に伴い嚥下筋のサルコペニアを認めることが増加する。活動に伴う廃用性筋萎縮は絶食で生じる。誤嚥性肺炎などの侵襲で嚥下筋も含めた筋蛋白の異化が亢進する。悪液質は、がん、結核、エイズ、関節リウマチ、慢性心不全、慢性腎不全、肝不全、慢性閉塞性肺疾患などで生じ、嚥下筋も含めた筋肉の喪失が特徴である。原疾患による筋萎縮には、多発性筋炎や筋萎縮性側索硬化症などがある。不適切な栄養管理である飢餓では、嚥下筋も含めた筋蛋白が異化する。
サルコペニアによる摂食・嚥下障害に対しては、これらの原因の有無を判断した上で、栄養管理と嚥下筋のレジスタンストレーニング(頭部挙上訓練、舌筋力強化訓練)を適切に行う。加齢と廃用が原因の場合、栄養障害を認めなければ主な治療は嚥下筋のレジスタンストレーニングである。栄養障害を合併している場合には、適切な栄養管理を併用する。疾患が原因の場合、原疾患の治療が最も重要である。高度侵襲下では、適切な栄養管理とリハを行っても摂食・嚥下機能の改善は難しい。悪液質の場合、n-3脂肪酸(エイコサペンタエン酸)の投与と廃用や飢餓の予防を同時に行う。飢餓が原因の場合、主な治療は栄養改善である。栄養改善なしにレジスタンストレーニングを行うとかえって悪化する。
例えば誤嚥性肺炎で絶食の場合、加齢、廃用、侵襲、飢餓によるサルコペニアを合併しやすい。この際、侵襲下では原疾患の治療、適切な栄養管理、維持的なリハでサルコペニアを最小限にとどめ、肺炎治癒後に栄養改善とレジスタンストレーニングでサルコペニアを改善させることが望ましい。

以下、要望演題の項目です。
1. NST加算の展望と問題点
2. NSTによってもたらされたもの -過去・現在と将来展望-
3. 地域一体型NST -栄養管理で結ぶ医療連携-
4. がん化学療法と栄養管理
5. 緩和ケアにおける栄養管理
6. 悪液質に対する最近の知見と代謝栄養管理
7. 嚥下障害の病態と栄養管理
8. 病院食改革
9. 栄養材の形状機能の追求
10. 腸管アクセスと栄養管理
11. PEGの功罪を検証する
12. 経静脈栄養ルートの選択と維持・管理
13. 周術期栄養管理の最近の動向
14. 集中治療における代謝制御と栄養管理
15. 炎症性腸疾患に対する栄養管理 最近の知見
16. 生体侵襲と抗酸化
17. 創傷治癒促進の栄養管理
18. 栄養療法とクリニカルパス
19. チーム医療の質向上を目指した新たな工夫
20. 栄養を軸としたチーム連携
21. 世界の中の日本 栄養管理の質と普及
22. 栄養教育の果たす役割
23. 小児領域の栄養管理 その問題点と対策
24. 慢性期医療施設の栄養管理
25. 在宅栄養管理の工夫

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