2010年6月26日土曜日

プライマリ・ケア研究のフロントライン

今日は、第1回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に参加して一般演題(昨日抄録をアップした内容です)を発表してきました。2つ前の演題から会場入りしたのですが、直前の発表が演者が来ていないということで、突然自分の発表の番になりました。心の準備ができていなかったので少しあせりましたが、無事発表できたと思います。

午後は、「プライマリ・ケア研究のフロントライン」というシンポジウムに参加しました。私はプライマリケア関連学会などで臨床研究やEBMのスキルを今まで学んできましたし、今回も学習になりました。これらのスキルは問題発見・解決能力として、医療人の一般教養と考えています。

シンポジウム概要:プライマリケア現場では,大学病院などの高次機能病院とは質的,量的に異なった問題が多く存在している.これはプライマリケア領域においてももちろん,疾病を診断し治療することは重要であるが,それ以外にも多くの役割を担っているためである.しかし,プライマリケア現場で臨床研究を行っていくことには多くのバリアが考えられる.そこで,プライマリケア現場で臨床研究の特徴,バリアを実際の経験を踏まえた演者に講演いただき,最後にそれをパネルディスカッションの形で議論したい.

企画・司会:松島雅人先生
講師:藤沼康樹先生、尾藤誠司先生、名郷直樹先生、横林賢一先生

自分がポイントだと思ったことだけ記載します。

・研究のネタとして、「質(医療の)、患者中心性、テクノロジー、研究、政策、教育」の6つが美味しい。経営・運営・マネジメントやFaculty Developmentも研究のネタになる。

・研究に必要なものは、アイデア、ノウハウ、研究計画、研究基盤、運営力の5つ。資金、リーダーシップ、まめなコミュニケーション、インセンティブ、事務局運営能力が重要。

・臨床研究とEBMは研究の両輪。どちらか一方のスキルを磨くと、もう一方のスキルも向上する。エビデンスを「つくり、つたえ、つかう」ことが重要。

・研究に必須なものは、情熱、研究費、胃薬、日ごろのコミュニケーション、菓子折り(利益相反に留意、研究費で購入してはいけない)。

・メーリングリスト、Skype、ツイッターなど無料のITツールを使いこなすことが有用。最新のITツールの活用方法自体が臨床研究になる。

 臨床研究デザインを学ぶ場は少ないながらもありますし、今後も増えていくとは思うのですが、その知識だけで一定の質の臨床研究を最後までやりきるのは困難だということを、改めて認識しました。

 実際に臨床研究のアウトプットを増やすためには、単に知識を学ぶ場を作るだけでなく、その後のフォローアップ、メンターも含めたサポート体制、情熱、研究費など数多くのものが必要です。日本プライマリ・ケア連合学会には、知識を学ぶ場だけでなく、臨床研究を最後までやりきるだけの場の提供を期待しています。

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