2010年6月24日木曜日

飢餓の定義

飢餓とは、エネルギー摂取量がエネルギー消費量より少ない状態が続き、栄養不良となることです。栄養不良を飢餓によるもの、急性疾患・手術など侵襲によるもの、慢性疾患の悪液質によるものに分類する方法があります。

国際連合食糧農業機関(FAO)では、食事エネルギー摂取量が基礎エネルギー消費量の1.54倍に満たない人々を飢餓と定義しています。この定義では世界で約10億人が飢餓となるそうです。途上国における飢餓は切実な問題です。

ただ、日本の病院・施設でも飢餓を「食事エネルギー摂取量が基礎エネルギー消費量の1.54倍に満たない」と定義すると、飢餓の患者が少なくありません。どころか相当います。

例えば私は今、廃用症候群の入院患者で飢餓の有無を評価しています。基礎エネルギー消費量をHarris-Benedict式で計算して、基礎エネルギー消費量よりエネルギー摂取量が少ない場合を飢餓と判断すると、これでも4~5割の患者が飢餓となります。

もし基礎エネルギー消費量の1.54倍よりエネルギー摂取量が少ない場合を飢餓と判断すると、現在調査中のすべて(10割)の患者が飢餓となってしまいます。これは大変なことです。

実際、日本の高齢者ではHarris-Benedict式で計算した基礎エネルギー消費量は高めになりますし、入院患者では活動係数は1.2~1.5で十分でしょうから、リハ栄養で国際連合食糧農業機関の飢餓の定義をそのまま使用することには、やや無理があるかもしれません。

ただ、基礎エネルギー消費量よりエネルギー摂取量が少ない患者が4~5割いるということは確実に問題です。これらの患者については、飢餓と言って間違いないと私は思います。飢餓の状態では維持的なリハしか実施できませんので、適切な栄養管理が必要です。

リハ栄養における飢餓の定義として、

①Harris-Benedict式で計算した基礎エネルギー消費量>エネルギー摂取量

②Harris-Benedict式で計算した基礎エネルギー消費量×活動係数×ストレス係数>エネルギー摂取量

のどちらがよいでしょうか。②だと活動係数とストレス係数を主観的に決めますので、まずは①で判断してよいのではと感じていますが、いかがでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿