2010年3月11日木曜日

リハ看護とリハ栄養

リハ看護は最近、脳卒中リハ看護認定看護師の資格もできて、リハにおける看護師の役割は高まりつつあると感じています。

リハ看護については、石鍋圭子・野々村典子編集代表「専門性を高める継続教育 リハビリテーション看護 実践テキスト」医歯薬出版が詳しいと思います。

http://www.ishiyaku.co.jp/search/details.cfm?bookcode=235120

目次
第1章 看護行動を支えるリハビリテーション・マインド
第2章 リハビリテーション看護に必要なヘルスアセスメント
第3章 リハビリテーション看護基本技術
第4章 リハビリテーション過程に生じやすい問題と看護アプローチ
第5章 リハビリテーション看護に関連する政策・制度,社会状況
詳細な目次は下記を参照してください。
http://www.ishiyaku.co.jp/search/details_1.cfm?cid=1&bookcode=235120

リハ看護はあらゆる場面で必要ですが、特に回復期リハにおいて「しているADL」、「するADL」を高めていく際に重要です。廃用症候群や脳卒中などで病棟でのADLに一部介助を要する時に、いかに早期に病棟でのADLを自立させるかは大切な課題です。

病棟でのリハ看護を頑張れば頑張るほど、病棟生活でのエネルギー消費量は通常、増加します。身体活動でのMETsの目安は下記の通りです。

1.0 静かに座る
1.2 静かに立つ
1.3 本や新聞等を読む(座位)
1.5 座位での会話・食事、タイプ、入浴(座位)、軽いオフィスワーク
2.0 更衣、整容、シャワー(立位)、歩行(平地、54m/分未満)、料理(座位、立位)、洗濯
2.5 歩行(平地、54m/分)、掃除、ストレッチング
3.0 歩行(平地、67m/分)、階段下り、レジスタンストレーニング(軽・中等度)

しかし、障害者が頑張ってADLを行っている際のMETsはより高くなるものと思われます。例えば健常者の歩行と片麻痺患者・義足患者の歩行を比べると、後者のほうがエネルギー消費量が多いです。ですので、食事によるエネルギー消費量も2Mets程度になっている可能性があります。

例えば体重50kgの患者さんが1食40分、3食で1日2時間を食事時間として、2Metsと考えると、エネルギー消費量の計算式は、

エネルギー消費量(kcal)=1.05×体重(kg)×メッツ×運動時間(h)

ですので、1.05×50×2×2=210kcalとなり、無視はできないエネルギー消費量となります。

ちなみに健常者が1食20分で1.5Metsと仮定すると、1.05×50×1×1.5=79kcalとなり、その差は131Kkcalです。これだけで活動係数を0.1高くしたほうがよいという計算になります。

他のADL(特にトイレ、歩行、入浴、離床時間など)でもリハ看護を頑張れば頑張るほど、エネルギー消費量は高くなりますので、それに見合ったエネルギー量を摂取していることが必要です。以前はリハ栄養でPT・OT・STによるエネルギー消費量しか考えていませんでしたが、リハ看護のことも考慮しなければいけないなと感じています。

ただ、こんな実例もあります。急性期脳梗塞で前医で嚥下食を経口摂取(+一部経管栄養)していて栄養状態に大きな問題がないにもかかわらず、転院先のリハ病院で「まだ体力がついていないから、口から食べるのはやめる。口から食べるとエネルギーを使うから、そこで体力を消耗する。もっと体力がついてからでないと口から食べられません。」ということで経管栄養のみになったそうです。

私は適切な栄養管理をしながら経口摂取・リハ看護を進めたほうがよっぽど体力もつくし、本人のADL、QOLも高まるのによいと考えますが、非常に残念です。まともなリハ科医師であれば経口摂取を中止させることはないと思うのですが…。

リハ看護栄養(もっといい言葉があればよいのですが…)の正しい実践で、ADLやQOLのさらなる向上を期待できるはずなので、自分でももっと考えてみます。

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