2010年2月16日火曜日

コメディカルのための論文の書き方の基礎知識

日本病態栄養学会から「コメディカルのための論文の書き方の基礎知識」という書籍が先月出版されました。

http://m-review.co.jp/book/17/bk17_0406_7.htm

内容としては、倫理的配慮,研究デザインと統計手法,論文の書き方,見習うことができる症例報告の例を分かりやすく解説し,多くの医療従事者が論文執筆の基礎および応用法を習得できるように編集されたそうです。

目次は下記の通りです(第2章だけ小見出しまで掲載しています)。
第1章 論文を書く前に

第2章 原著論文の書き方
1.研究デザインと統計手法

1.臨床研究の重要性
2.研究デザイン
3.統計手法(基礎編): データの要約
4.統計手法の選択(基礎編-1)
5.統計手法の選択(基礎編-2)パラメトリック検定とノンパラメトリック検定
6.統計手法の選択(基礎編-3)
7.統計手法(実例編)
8.統計手法(応用編)
9.アンケート調査のすすめ
10.臨床研究における管理栄養士の役割

2.論文の書き方

1.タイトル,キーワード,著者リストの記載方法
2.要旨の記載方法
3.緒言の記載方法
4.方法と対象の記載方法
5.結果の記載方法
6.考察と謝辞の記載方法
7.文献の記載方法
8.図表のつくり方

第3章 症例報告のすすめ
第4章 論文執筆の実践例

論文を書きなれていない管理栄養士などコメディカルに対して、質の高い優れた日本語論文を積極的に投稿するよう促すことが企画の意図ですので、わかりやすく記載されています。私も多くの方に原著論文を執筆してほしいと考えていますので、この意図には共感します。

臨床研究の実施まではすでに終わっているのに、学会発表のみで終わってしまったり(論文執筆の価値がある内容の学会発表の場合ですが)、論文執筆の段階でなかなか進まなかったりする人に特に有用ですので、そのような方におすすめします。

ただ、田中清先生が50ページで記載しているように、「この本を読んだだけでは論文を書けるようにはならない。詳しい解説書を読めば自動車が運転できるようになるか?水泳ができるようになるか?答えは否である。教科書で勉強したら。次は実践トレーニングが必要である。(中略)とにかく、まず書くことである。」というのが一理あります。ただし、書く価値のある臨床研究でなければ書く意味はあまりありません。その意味では書き方の前に、書く価値のある臨床研究を行うための学習が必要です。

研究デザインと統計方法に関してもわかりやすく解説されていますが、この書籍だけでリサーチクエスチョンを考えて臨床研究デザインを作成して実際に書く価値のある臨床研究を行うことは困難です。臨床研究の独学も不可能ではありませんが、かなり容易ではないので、研修会での学習や大学院での体系的な学習が望まれます。

そこで宣伝ですが、3月13日(土)の第2回神奈川NST専門療法士FD勉強会では、リサーチクエスチョンワークショップ「日常業務での疑問をリサーチクエスチョンに」を行います。その他に肝臓領域のミニレクチャー、特別講演「生活の場に視点を向けた退院調整のあり方」もあります。

http://www.peg.or.jp/news/information/kanagawa/100313.pdf

2月中なら申し込み可能ですので、NST専門療法士やNST専門療法士と同等の知識を有する医療従事者(医師、PT/OT/STなど)の方の参加をお待ちしています。

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