2009年12月9日水曜日

なぜFDか

このブログにはFDの話が多いのですが、今日はなぜ医療人にFDが必要かを考えてみます。

もっとも大きな原因は、今の世の中が知識社会かつ組織社会であり、医療人が知識労働者かつ組織労働者であるためです。

知識社会と知識労働者については、P.F.ドラッカーが1960年代から「経営者の条件」や「断絶の時代」などで述べています。ドラッカーの本を読んだことがない方は、ぜひ「プロフェッショナルの条件」を読むことをお勧めします。この本と出会ったことで私の人生が変わったといっても過言ではありません。

今は知識を知識に応用して成果を出すことが求められる時代です。そのため、医学知識や栄養知識といった医療人の専門知識だけでは成果は不十分で、FDと専門知識・技能を結合することではじめて十分な成果が出ます。

実際、問題発見・解決能力、マネジメント能力、コミュニケーション能力、生涯学習能力を意識していなないとしても、日々の仕事の中で医療人はこれらの能力を用いています。しかも、臨床だけでなく、教育、研究、管理でもこれらの能力を用いて仕事しているのです。つまり、これらの能力をより意識して仕事に応用することで、臨床、教育、研究、管理でより多くの成果が得られます。

FDと基礎医学は似ているところがあります。どちらも大切ですが、臨床医学に比べるととっつきにくく、忘れがちです。ある程度の臨床経験を積むことで、その重要性を再認識します。解剖、生理、病理を忘れても一定の臨床の仕事はできますが、これらをよく知っているとよりよい仕事をできます。FDを意識しなくても仕事はできますが、意識して学習、活用すると、よりよい仕事をできます。

また、知識社会では知識や知恵が重要な経営資源(人や社会関係資本も重要ですが)になるため、新しい情報や知識が各領域で急速に増えていきます。それらを身につけるためには、効率的な学習が必要です。若い学生に適した学習方法と成人に適した学習方法(成人学習理論)は異なるので、学生時代に習得した学習方法のまま医療人になっても学習することは、あまり効率的ではないことが多いと思われます。私はかなり学習方法を変えました。

FDを学ぶことで、キャリアの満足度を高めることも可能だと感じています。自分のキャリアを考えることの重要性も、今の社会では急速に増しています。一昔前は他人や会社、社会任せのキャリアでも何とかなっていましたが、今はそれでは満足なキャリアは得にくいと思います。今ほど個々の医療人がキャリアを考えることが大切な時代はありません。実際、私の周りではキャリアを真剣に考えている医療人が多いです。

論理的な文章になっていませんが、このような理由で私はFDに関心を持ち学習するようになりました。FDを学んでいなければ、リハ栄養の本を執筆することもなかったし、神奈川NST専門療法士連絡会や横浜南部地域一体型NSTを立ち上げることもなかったはずです。

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